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サロンで育てた人材が退職&近所で開業、お客さまが流出!悲劇を起こさないためにやるべきこと

エステサロンや脱毛サロンは施術スキルと接客スキルを身につけたスタッフが独立しやすい業種です。いまサロンを経営している先生たちも昔は他のサロンのスタッフだったのでは? ですが、いざスタッフが独立して開業するとご自身サロンに悪影響が及ぶことも。そこで今回は、サロンスタッフが退職する際に、自分のサロンに不利益が生じないようにするための対策についてお話します。

サロンスタッフが退職・独立するときに想定される不利益とは?

まずは、あなたのサロンのスタッフが退職、独立するときにサロンにふりかかる可能性がある悪影響について把握しておきましょう。

ケース1、スタッフが近所で独立してお客さまが奪われる

スタッフが退職して、独立する場所があなたのサロンと同じ商圏だった場合、お客さまの一部が奪われてしまうおそれがあります。とくにスタッフ自身にお客さまがついている場合には、そのお客さまのほとんどが流れてしまうリスクがあります。あなたのサロンがコース契約ではなく都度払いのお客さまがメインだった場合、その影響は甚大です。

ケース2、スタッフがお客さま情報を持ち出して営業をかける

独立するスタッフが顧客名簿やリスト、メールアドレスやLINEのIDなどを持ち出して営業をかけるケースは、美容業界を問わず数多く報告されています。顧客情報はサロンにとっての命綱。持ち出されて営業をかけられたらたまったものではありません。お客さまを奪われることはもちろんのこと、お客さまの大切な個人情報を独立するスタッフが持ち出したことで、サロンの社会的な信用が失墜してしまいます。

ケース3、スタッフがあなたのサロン独自の技術を真似をした

フェイシャルサロンや痩身サロンの施術の中には、サロン独自のものもあります。手技や使用するオイルの組み合わせ、機器の組み合わせなど先生が編み出したものは珍しくありません。そういった技術や独自の手法を、独立したサロンのスタッフが真似をして近隣で開業してしまうと、あなたのサロンは不利益を被ります。

「この施術はここでしかできないんですよ」と集客していたのに、同じことができるサロンが増えてしまえば集客力がダウンしてしまいます。

退職したスタッフが近隣で独立しないようにするためには「競業避止義務契約」を結ぶべき

元スタッフが近所で開業するとは、あなたのサロン経営に大きな打撃を与えます。それを防ぐためにできることが「競業避止義務契約(きょうぎょうひしぎむけいやく)」の締結です。ここでは競業避止義務契約の意味や契約を結ぶ上での注意点についてわかりやすく説明しますね!

競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)とは?

まずは競業避止義務の意味をチェックしておきましょう。競業避止義務をかみくだくと「退職したあとに、近所にサロンをオープンしたり、働いたりしないでくださいね」という義務です。

「お世話になった元勤務先に不利益を被らせるようなことをするわけがないじゃない」と考えてしまいますが、じつは日本国憲法はすべての国民に職業選択の自由があると定めています。

つまり、スタッフが近所でサロンをオープンしようと、ライバルサロンで働こうと自由。憲法上はそれを止めることはできないのです。

とはいえ、それをすべて許してしまうと企業の経営活動に支障を来たしてしまいます。そこで登場したのが「競業避止義務」という考え方です。

競業避止義務契約を決める際の注意点

競業避止義務契約は、どんな条件でも認められるわけではありません。先ほどお話したように、職業を選ぶ自由は憲法で認められた権利。かんたんには制限できません。したがって、「あなたは退職後5年間は、〇〇県において同業種への就職・開業はしないでください」といった制限は、裁判で争ったとしても無効と判断される可能性が高いです。

裁判で争っても無効と判断されない競業避止義務契約を締結するためのポイントは以下の通りです。この条件をクリアしていれば、訴訟になったとしても有効性が認められる可能性が高まります。

  • 禁止する職種を明確にしておく
  • 同業他社への就職や開業を禁止する期間は長くても2年程度にとどめる
  • 開業を禁止するエリアの範囲を広くしすぎない
  • 特別なスキルを持つスタッフ、地位にあるスタッフにのみ競業避止義務契約を検討する
  • できれば、競業避止義務の対価を支払う

このなかで、見落としがちなポイントは競業避止義務契約を求めるスタッフの地位やスキルです。スタッフが入社まもないアルバイトやパートスタッフで、高度なスキルを有していない場合には、競業避止義務契約を締結しても、訴訟等では認められないおそれがあります。また正規スタッフであっても、サロンの主軸を担うような立ち位置ではない方や、メインとなる施術を任せられていなかったスタッフに競業避止義務を課すことは現実的ではありません。

競業避止義務契約を結ぶ方法

競業避止義務契約はスタッフが退職する前、もしくは退職した後に書面で取り交わす必要があります。競業避止義務契約の契約書にはサロンのオーナー様とスタッフの双方の署名と捺印が必要です。サロンを法人化している場合は法人印を捺印しておきましょう。同じ内容の競業避止義務契約書を2通作成して、それぞれが保存しておきます。

競業避止義務契約はケースバイケースで、その有効性の判断が異なりますし内容によってはスタッフとの関係性が壊れるリスクがあります。判断に困るとき、どうやって契約書を作成すればよいかわからないときは、弁護士にご相談ください。

顧客情報の流出を防止するためには秘密保持契約が有効

雇用契約を結んでいるスタッフは、業務上で知り得た情報については他者に漏らさない義務をおっています。しかし、退職をすると秘密にしておく義務が消滅してしまいます。したがって、スタッフによるお客さまの引き抜き等を防止するためには、退職時に秘密保持契約を締結しておくことをおすすめします。退職時の秘密保持契約の期間を無限とすることはできません。2年から5年程度が妥当といえるでしょう。

顧客情報リストの持ち出しについては、あえて秘密保持契約を締結せずとも、不正競争防止法第21条にて禁止されています。退職したスタッフが、サロン独自の顧客情報リストを持ち出したことが発覚したら、刑事告訴や民事上の損害賠償請求を検討しましょう。

スタッフの退職で損害を被る前に、競業避止義務契約と秘密保持契約はセットで作成しておきましょう

今回はサロンのスタッフが退職した後に発生しがちな、近隣で開業したり顧客を引き抜いたりするトラブルの解決方法についてお届けしました。

すこし難しいお話になりましたので、かんたんにまとめておきますね!

  • 主要なスタッフ、特別なスキルを持ったスタッフが退職するときは競業避止義務契約を結ぼう
  • 競業避止義務契約は、業種と期間、地域を限定しておこう
  • スタッフの地位等を問わず、退職時に2年から5年程度の秘密保持契約を結ぼう

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