フェイシャルサロンや痩身サロンなど、さまざまな形態のエステサロンがありますが、どのエステサロンでも物販の売上はサロン収入の基礎を形作ります。
いつでもお客様に販売できるように、しっかりと在庫を用意している先生も多いのでは? そこで今回は、サロンの物販化粧品の在庫管理における失敗例や正しい在庫管理方法をお届けします。
INDEX
そもそも在庫管理って? 在庫管理のキホンを確認
まずは物販アイテムにおける在庫管理という言葉の意味を理解しておきましょう。
エステサロンの物販アイテムのメインは基礎化粧品やボディクリーム、サプリメントです。こういったアイテムの品質を保ちながら、適正な在庫数量を保つことを在庫管理といいます。
在庫管理のキホン1:使用期限の管理
基礎化粧品やボディクリームは口に入れないものではありますが、メーカーが推奨する使用期限があります。サプリメントは消費期限が設定されているものがほとんどですので、期限ギリギリのものをお客様に販売することができません。
したがって、すべてのアイテムの使用期限や消費期限を把握した上で、期限切れのアイテムを出さないように管理する必要があります。
在庫管理のキホン2:品質管理
基礎化粧品やサプリメント等は温度変化や湿度の変化に弱いものが少なくありません。中には冷蔵保存が必要なものもあります。したがって、アイテムごとの品質管理も在庫管理のひとつです。メーカーが推奨する保存方法で保管しておく必要があります。
在庫管理のキホン3:数量管理
在庫管理のキモといえるのが在庫の数量管理です。過剰に在庫を抱えると廃盤や期限切れのリスクが高くなりますし、在庫が足りなくなると売上のチャンスを逃すことになります。つねに適正な量の在庫を持つことが大切です。
物販アイテムの在庫管理に失敗するとどうなるの? 在庫管理の失敗例
では在庫管理がうまくいかないと、どんなことになるのでしょうか。在庫管理をきちんとしていなかったおかげで、思わぬ損失を出してしまったサロンの実例をご紹介します。
使用期限のことを考えずに適当に販売していたら使用期限切れと新しいものが混在して……!
フェイシャルサロンのA先生は、モノの整理整頓が苦手。サロン内はキレイにしていたものの、在庫の保管場所は雑然としていて、新しいものと古いものが混在していました。サロン内の在庫がなくなったら保管場所から補充していたのですが、使用期限にお構いなく目についたアイテムを持っていくスタイル。気づけば、使用期限がもうすぐ切れるアイテムと、届いたものがぐちゃぐちゃになってしまいました。
そして、とうとうお客様に使用期限ギリギリのアイテムを販売してしまったのです! お客様は自宅に帰って使い始めてから使用期限ギリギリであることに気づきご立腹。サロンに電話をして、「長年のお付き合いなのにこんなものを売るなんて!」と怒りを爆発させてしまいました。A先生は、新しいものと古いものを交換した上で、全身痩身コース1回分の無料チケットをお渡しして丸く納めたのですが、一度信頼関係にヒビが入るとなかなか修復はできません。
物販の売上が安定しているからと、多くの在庫を抱えていたら新商品が発表されて……!
痩身サロンのB先生は物販が得意で、お客様の7割が定期的に基礎化粧品やボディクリームを購入していました。お客様との信頼関係も良好で、物販売上は長期的に安定している状態です。
そこで先生は発注の手間を軽減するために、売れ筋アイテムの在庫を半年分購入することに。ちょうど確定申告前ということもあり、仕入れとして計上して節税をしたいという思いもありました。
ところが、半年分の商品が届いた翌週に全製品のリニューアルが決定。翌月、メーカーから新製品が販売されることになり、すべての在庫が「リニューアル前の古いアイテム」になってしまったのです。お客様が、新しいアイテムを購入したいと考えるのは当然のこと。結局B先生は、売れなくなった在庫を割引販売することになり、サロンの利益率は低下してしまいました。
これで完璧! サロンの物販アイテムの在庫管理法!
サロンの物販アイテムの在庫管理に失敗すると、過剰な在庫を抱えてしまって新製品の発表でデッドストックになったり、品質管理に失敗したり使用期限を過ぎてしまい売り物にならなかったりと、サロンの利益率を低下させてしまいます。
サロンの物販アイテムの在庫管理は、サロンの健全経営に欠かせません。そこで、ここからはサロンの物販アイテムの適切な在庫管理方法についてお届けします。
発注ポイントをあらかじめ決めておく!
物販アイテムは毎月一定の数を毎月購入するよりも、発注するポイントを決めておくことをおすすめします。「残り〇個になったら注文しておこう」と決めておいて、ふせんを製品に貼り付けておけば発注忘れも防止できます。もちろん過剰在庫や欠品も防げますよ。
発注担当者を固定しておく
人間が手動で行う作業にはミスがつきものです。ヒューマンエラーをゼロにすることはできませんが、関わる人の数を最小限にすることでミスが起きる確率を減らせます。二重発注も防げますので、「発注はオーナーだけ」といったルールを決めておくとよいですよ。
在庫の保管場所は見える化とラベリングがカギ
在庫しておくアイテムはプラスチックケースなどの外から見えるボックスに保管しておくことをおすすめします。ただし、直射日光があたる場所で透明ボックスを使うのはNGです。
また化粧品を収納しているボックスには、収納するアイテムの名前をシール等に書いて貼っておきましょう。ラベリングしておくと、仕入れた際の収納ミスや、お客様にお出しする際の取り間違いを防止できます。
先入先出を徹底する
発注したアイテムが届いたら一番奥にしまい、販売するときは手前のアイテムをとります。これを「先入先出」と呼びます。先入先出を徹底すれば、常にもっとも古い在庫を販売できますので、使用期限の超過を防止できます。
入出庫台帳に記録しておく
多くの先生は売上や仕入、経費などをこまめに記帳しているかと思います。でも意外と忘れがちなのが物販アイテムの入出庫管理です。どのアイテムがどれだけ入ってきてどれだけ売れたのかを記録しておくのが入出庫台帳です。
購入したアイテムが届いた日とお客様に販売した日と数量を記載しておくと、現場に行かなくてもアイテムの在庫を把握できます。
【記載例:保湿化粧水の入出庫台帳】
日付 | 入庫数 | 出庫数 | 在庫数 |
9/10 | 10 | 0 | 10 |
9/15 | 1 | 9 | |
9/18 | 3 | 6 | |
9/23 | 2 | 4 | |
9/28 | 10 | 0 | 14 |
入出庫台帳はこんな感じで入力します。
記入項目は最小限でオッケーです。日付と仕入れた数と売った数、差し引きの在庫数が書いてあれば、在庫数を把握できます。
1ヶ月に一度棚卸しを実施すると、台帳と実際の在庫の乖離にすぐ気づけます。
適切に在庫を管理して、サロンの利益率を安定させよう
今回は、エステサロンの物販アイテムの在庫管理方法や失敗事例をお届けしました。
エステサロンにおいては、物販アイテムの在庫管理に失敗すると、過剰在庫を抱えて利益率が低下したり、必要なときに欠品して売上が減ってしまったりと、サロン経営を圧迫します。サロンの利益率を安定させるためには、在庫数を適切に管理して過剰在庫や欠品、期限切れ等を防ぐことが大切です。
ぜひご紹介した内容を参考に、在庫数を適切に保ちサロンの利益率を安定させましょう。